Steinbeck, "East of Eden" (エデンの東) 13 アダムとキャシーの再会(2)

チャールズは生まれ育った農場で生涯を閉じた。チャールズは、父サイラスが残した遺産は、父が政府から盗んだものだと信じて、手をつけなかった。このため、チャールズの手元にあった遺産はそのまま残され、遺言によりアダムとキャシーへと相続されることになった。

弁護士からの手紙を受け取ったアダムは、キャシーに遺産を渡すべきかを悩んだ。キャシーにお金を渡せば、彼女はサリナスを出て東海岸へ向かい、キャシーに瀕死の重傷を負わせた男に復讐をすることだろう。それ以外にも、世に害を与えることであろう。アダムは迷った。

そして、ついにキャシーへ会いに行った。2度目の再会である。アダムは遺産のことを話し、キャシーの取り分を説明した。キャシーは、正直に遺産の話をするアダムに何か裏があるのではないかと疑った。というのもキャシーには正直に生きるアダムの行動の真意がわからなかった。真意がわからず、本当は存在しないトリックにうろたえるのであった。

アダムは、キャシーにはわからない大切なことが存在すること、自分にはキャシーにわからない大切なことがわかることを知った。それは、善き生き方を象徴するアダムの勝利でもあった。

"East of Eden", Penguin Books, John Steinbeck
 

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