投稿

10月, 2007の投稿を表示しています

ジェイムズ・ジョイス 「フィネガンズ・ウェイク」 24 解放者

解放者が起き立つこと、それは死からの復活。 きれいな宿木二本、立木にリボンでゆわえられ、解放者が起き立ち、そしてなんと、彼らの三は自由になった!(3・4巻p389) 解放者にして救い主イエス・キリストは二本の木で出来た十字架にかけらて、死に至り、そこから復活した。そして三位一体の神は成就した。繰り返し復活のことが示唆され、その度にイエス・キリストのことを思い起こさせる。いろいろな人物やごちゃごちゃした物が無秩序に現れては消え、物語は混乱を極めて、読者としては収集がつかない状態にあるにもかかわらず、いつも根底にはイエス・キリストの復活が主題として流れていることは伝わってくるし、そのことを意識せずには言葉を拾えないのである。話の筋が全然見えないのに、話の主題が明瞭になってくるのだから、全く不思議な物語である。 「フィネガンズ・ウェイク」 河出文庫 ジェイムズ・ジョイス著 柳瀬尚紀訳