Steinbeck, "East of Eden" (エデンの東) 11 アダムとキャシーの再会

ーーーウィキペディア「エデンの東」2008年5月10日 (土) 03:24 (UTC)Fuccieによる投稿は、このWebページの作成者によるものです。ーーー


住み慣れた土地を離れ、オリーブのところに身を寄せるようになったサミュエルであったが、しばらくしてこの世を去った。葬儀が催され、親族や友人達が集まった。

サミュエルの葬儀に出席した帰りに、アダムはキャシーの営む売春宿を訪れた。キャシーと再会したアダムは初めてキャシーの真の姿を見ることが出来た。

その出来事は、再会と言うよりは対決と言うに相応しい雰囲気である。暗い面を代表するキャシーと、明るい面のアダムとの対決である。

キャシーは言う。この世に生きる人々は馬鹿と悪ばかりである。皆、自分は正しいという振りをしているが、すこしも正しくない。正しいという振りをしているだけである。キャシーにはその態度が許せなかった。キャシーは、世の人々を馬鹿にし、自分の都合の良いように使い、用が無くなれば破滅へと追いやった。

正しくあろうとする人間の姿勢を否定し、正しくないのであれば、そういう生き方をしろといっているように感じられる。

キャシーの存在は、読者に原罪の意味を考える機会を与える。正しくあろうとする人間の姿は偽りで意味のないことなのか、それとも、少しでも罪を償いながら努力することこそが一番美しいものではないか。

アダムはキャシーの意見を否定する。アダムにはキャシーの考え方にアダムの確固とした姿勢。

アダムは、真の自分自身を取り戻した。アダムの勝利は、読者にも勇気を与えてくれる。

"East of Eden", Penguin Books, John Steinbeck
 

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