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シャルルマーニュ伝説 4 馬・怪物・剣

騎士達が乗る馬には、驚くべき能力を持ったものがある。人のように賢いもの。空を飛べるもの。肌が鉄のように堅く、どのような剣でも突き抜くことが出来ないもの。 騎士が闘う怪物もそうである。肌が非常に堅くできており、剣でも突き抜くことができないものが多く登場する。しかし、そのような怪物達にもたいがい弱点があり、ある部分だけが柔らかくできていたりする。 剣にしても同様で、どのような堅いものでも貫くことが出来るものが出てくる。しかし、先出の怪物のほうが堅く、貫くことは出来なかった。 荒唐無稽な話ではあるが、中世という時代を後世から振り返り、想像をたくましくして描いたものであろう。ドン・キホーテの物語において、ドン・キホーテが夢みている騎士の姿がどのようなものであったかを想像するとき、この物語が助けてくれる。 「シャルルマーニュ伝説」  講談社学術文庫  トマス・ブルフィンチ著 市場泰男訳

シャルルマーニュ伝説 3 女性騎士

ブラダマンテという女性騎士も現れる。剣術の腕は強く、乗馬にも優れ、正義感に溢れ、誠に素晴らしい女性像が描かれている。 ブラダマンテは、勇者として優れているが、愛らしさも覗かせる。ロジェロという異教徒の勇者と恋に落ち、ロジェロがキリスト教に改宗した上で二人は結ばれる。 根拠はないが、手塚治虫の「リボンの騎士」はこの物語をヒントにしているのかなと感じた。 「シャルルマーニュ伝説」  講談社学術文庫  トマス・ブルフィンチ著 市場泰男訳

シャルルマーニュ伝説 2 若き騎士達

物語には幾人もの勇者が出てくる。中世の騎士である。オルランド、リナルドという騎士達であるが、彼らは貴族の出で、シャルルマーニュとも血縁関係にあるという設定になっている。 適役となる勇者には、アグリカン、グラダッソ、マンドリカルドなど、シャルルマーニュから見て異教徒の人々が登場してくる。イスラム教徒であったり、タタール人や中国人であったりする。(名前は、それらしくないが。) 若い騎士達は、お互いの中で腕比べをしたり、イスラム教徒や東方の民族と闘ったりする。イスラム教徒が出てくるのは、シャルルマーニュの時代に、北アフリカからイベリア半島へと侵略を続けたイスラム教徒と、フランス進入を阻止して闘った歴史的な背景があるのだろう。 中世ヨーロッパだけに話が留まらず、イスラム、中国と国際的な視野で物語が展開するのは興味深い。 「シャルルマーニュ伝説」  講談社学術文庫  トマス・ブルフィンチ著 市場泰男訳