Steinbeck, "East of Eden" (エデンの東) 18 アロン 母との再会

父親に拒絶されたカレブは、父親の愛を一身に受けるアロンに対して嫉妬し、父親の愛に対する復讐をするのである。カレブは、アロンを母キャシーの許へ連れて行き、二人を対面させた。アロンが突きつけられた現実を受け入れられずに、その場から逃げ出したとき、カレブは陰でにやにやしながら眺めていただけであった。カレブには、アロンが母親の事実を知ることからくる衝撃を乗り越えられないとわかっていたのだが、嫉妬による衝動がカレブを動かしていた。

アロンは逃げた、アロンは衝動的に軍隊へと入隊した。そして、ヨーロッパの戦線へと向かったのである。

アロンが軍隊へ入ったという知らせは、父アダムの心を激しく揺さぶった。このころからアダムは軽いめまいを感じるようになる。

アロンが大学へと旅立った後、カレブはアブラと親密になっていく。聡明なアブラには、アロンが現実を受け入れられなくて逃避したことがわかっていて、アロンへの愛情は薄らいでいた。そうした状態でカレブを見ると、ありのままの事実を苦しみと共に受け入れる逞しい生命力に気持ちが惹かれたのではなかろうか。だから、アロンが逃げ出したときにも、アブラは平気であった。


"East of Eden", Penguin Books, John Steinbeck
 

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