Steinbeck, "East of Eden" (エデンの東) 16 アロン レタスと逃避

アロンは、ブロンドの髪と端正な顔立ちをし、また優しさと開放的な性格とも相俟って、大人にも同年代にも好かれる青年に育った。学校の成績も優秀であった。好青年のアロンには、やはり同じようなタイプのアブラAbraというガールフレンドができた。二人はお似合いであった。

アロンの父アダムは、キャシーが彼のもとを去ってから無為の人であったが、チャールズの死後に、何か自分が生きた証を残したいと思い始めた。アダムは何か大きなビジネスがやりたかった。アダムは氷による冷蔵保存に目をつけ、カリフォルニアのレタスを冬場に東海岸へと輸送することを考えついた。1900年代初め、冬場にニューヨークで新鮮なレタスは手に入らなかった。貨物列車にレタスと氷を積み込み、サリナスの人々に見送られながら列車は出発した。最初は順調に事は進んだが、途中の中西部でちょっとした連絡の不行き届きで列車が数日同じ場所に留められてしまった。ぎりぎりの日数で計算した輸送計画である、この数日が大きく響いた。レタスが東海岸に着いたときには食べられる状態ではなかった。アダムは、この失敗で大きな損を出すと共に、サリナスの人々からの嘲笑の対象となった。

アダムがレタスで大きな失敗をしたとき双子は高校生であったが、二人も笑いものにされ、レタスと呼ばれるようになった。アロンにはこの嘲笑が耐え難かった。アブラは父親がやったことはアロンには関係ないから気にすることはないと慰めるのであったが、アロンはサリナスを逃げ出してどこか遠くへ行きたかった。アロンは、高校を飛び級で卒業しサンフランシスコの大学へ行くことを決意した。

一方、カレブはこの事件にも平気であった。

この事件は、アロンの周辺に起きたことの一つであるが、彼の生き様を象徴していて、アロンは自分の望む事実のみを受け入れようとし、自分の望まない事実から逃れようとした。カレブは、ありのままを受け入れたのと対照的である。

"East of Eden", Penguin Books, John Steinbeck
 

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