スタンダール 「赤と黒」 11 カフェ

赤と黒においては上流階級や僧侶の世界が描かれているのだが、その中で数少なくも庶民の生活を扱うのにスタンダールはカフェを選んでいる。

フランシューコンテからブザンソンへ出てきた時、ジュリアンは神学校へ行く前に町を散策した。

一六七四年の包囲戦の歴史で頭をいっぱにしている彼は、神学校に閉じこもってしまうまえに、城壁や保塁を見ておきたいと思った。(第24章)

ジュリアンはカフェを訪れた。

高い城壁、外堀の深さ、大砲の威嚇的な様子などに、数時間は魂を奪われている形だったが、ふと彼は大通りにある大きなカフェの前を通りかかった。彼は眼を丸くして立ちどまった。(第24章)

カフェの中でジュリアンはカウンターの中にいるアマンダからコーヒーと砂糖とパンをもらい、会話を通して彼女と仲良くなった。カフェの中では、市井の男たちがビリヤードに興じていて、その中の一人、フロックコートの青年とジュリアンはいざこざを起こしそうになる。アマンダが気を利かせてくれたお陰もあり、にらみ合いがあっただけで事なきを得た。









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