ジェイムズ・ジョイス 「フィネガンズ・ウェイク」 20 最愛の妹よ

ジョーンからの妹への言葉。断片的なところを拾っていくと少し話の筋が見えてくるような気がする。

最愛の妹よ、とジョーンは即達する誠意をこめて郵弁に口をひらき、語法と婉曲留の不明瞭は消印し、スコラスティカな物言いとはただちにおさらばして深い愛情をもってして時をかせぎ、ぼくらが退場したとたんにおまえは痛くさびしがるだろうとぼくらは正直なところ思っているけれど、ぼくらはすべての務めの教会線を廃することに殉じるものとして感じるに、そろそろもう頃合いだから、大ハリーきりに乗って、長い最後の旅へさまよい去って、おまえのお荷物にはならないことにしよう。(3・4巻p67)

われは起きるなり、おお、麗しの群がりよ!且つ始言すなり。さてはて、この序の入祭文ののち、わが銀河乙女らよ、こけけっこうな(3・4巻p67)

しぐイアウ一家がわが血統だからして、われらは虻ら食むいさご虫のごとく永豪這に増足せんことを!(3・4巻p94)

なあ妹よ、とジョーンはいいそえ、いくちっとばかかり陰気な雑声、それでもなお結高ふぁリューっトして、彼女に背をむけてそれの機嫌をとり、(3・4巻p100)

もっと言いたいことがある。惜別の一言を述べて心の調べを静めるとしよう。契りだ。封印したっていい!それでおさらば、(3・4巻p112)

さあて、おまえたちを見つめよう!(3・4巻p117)

さればカモメの水平去らん、不憫だが、(3・4巻p128)





「フィネガンズ・ウェイク」 河出文庫 ジェイムズ・ジョイス著 柳瀬尚紀訳





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