ジェイムズ・ジョイス 「フィネガンズ・ウェイク」 22  われの闇より出で現れ

だれの声だろうか。心に響き渡る声が現れる。
わが心、わが母!わが心われの闇より出で現れ!(3・4巻p194)

「わが心われの闇より出で現れ」。心に留まって反響し続ける言葉。われの闇とは、何だろうか。自分の意識も気づかない意識下の部分、自分の中の邪悪な部分、それとも、生命の奥底に刻まれている本能の部分だろうか。いずれにしろ生命力に満ちた強い勢いを感じさせる部分だ。そんな奥底から心が現れるというのは、自分の醜い部分、本能的な部分、それともそんな部分から昇華した自分が現れるというのだろうか。



「フィネガンズ・ウェイク」 河出文庫 ジェイムズ・ジョイス著 柳瀬尚紀訳





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