フィネガンズ・ウェイク 2 川走
読んでいると果てしなく続くように感じられる、この物語の始まりはこうなっている。 川走、イブとアダム礼盃亭を過ぎ、く寝る岸辺から輪ん曲する湾へ、今も度失せぬ巡り路を媚行し、巡り戻るは栄地四囲委蛇たるホウス城とその周円。(1巻p19) 文章の意味が取れないのだが、並んでいる言葉を眺めていると何かしら風景が感じられる。「イブとアダム」や「川」や「巡り戻る」は、人間の歴史をイメージさせるし、「川」や「湾」からは曲がりくねった川が流れ込む湾という実際の風景が浮かんでくる。 川は、多分、アイルランドのダブリンを流れるリフィ河であろう。何回もリフィの名が出てくる。リフィはアイルランド人にとっての象徴的な川で、ジョイスにとっても大切な存在であろう。 「イブとアダム」ここから物語は始まる。 「フィネガンズ・ウェイク」 河出文庫 ジェイムズ・ジョイス著 柳瀬尚紀訳