フィネガンズ・ウェイク 5 妻

アンナ
旗ばた娘だろうが鰭ひら娘だろうが、ぼろ臭だろうが、金うなりだろうが銭乞いだろうが、かまうものか。ああたしかに皆が愛するあばずれアンナ、いやつまり、雨連れアンナ、(1巻p26)

フィネガンの妻。
なんと溜めまめしくも美しく、なんと史実な妻、厳格に禁じられているというのに、歴史的現在時製の品々を後期預言書の過去からくすねてきて、われら皆をてんや菓わんやか魚っとするよな御曹子と姫君に仕立て上げようとする。彼女は死財の只中で生流れ、涙さめざめ笑い洗い(なにしろ避忍せぬ歓産婦)、寝プロンを仮面に木靴を蹴り蹴りアリアを歌い(まっサラぁ! どろミファ!)、お望みなら慰搾ってあげる。(1巻p34)

妻のこと。



「フィネガンズ・ウェイク」 河出文庫 ジェイムズ・ジョイス著 柳瀬尚紀訳





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