フィネガンズ・ウェイク 3 フィネガン

フィネガンのことが出てくる。
棟梁フィネガン、どもり手フリー面相は、裁き人らが士師憤然ヨシュ悪しと民数を記す前から広唐無罫通りのいぐさ明りの奥間った奥間に寝あかに暮らし、あるいはへっレビ野郎は申命賭して姻行重ね(ある醗曜日、こいつはスっターンとばかり桶に頭をずっこんで己が未来を占顔せんとしたのだが、スイフっト振るい抜かないうちに、モーセっぱつまって水が蒸ッと脱出するや、宜熱スの創世酒が残らず飛び埃に及び、どうじゃこいつは、水も酒も五っ書くたな男!)そしてくる年めくる年、この栄地しい違々たる畚セメント家造りは、飲んべえ村で何房川の土手上にえい糞っと屋上屋を重ねていた。(1巻p21)

聖書からの引用がたくさん出てくる。「士師」「民数」「レビ」「申命」「創世」は旧約聖書の名前。「五書」は旧約聖書の一部を指しているよう。「ヨシュア」や「モーセ」はアブラハムの血統のイスラエルの民を継ぐ者。
「水が蒸ッと脱出する」とは、旧約聖書にあるモーゼの出エジプトでの出来事(追っ手に迫られたときに紅海の水が引きモーセ達は逃れることが出来た)を指しているのか。

フィネガンは主人公で、何が書かれいるのかよくはわからぬが、ある村に暮らしていたことがおぼろげに窺える。

「フィネガンズ・ウェイク」 河出文庫 ジェイムズ・ジョイス著 柳瀬尚紀訳





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