Steinbeck, "East of Eden" (エデンの東) 17 カレブのビジネス

父アダムのレタスにまつわる失敗に対して、カレブはアロンとは別の行動を取った。カレブは、父の損失を自分で稼いで取り戻そうとしたのである。サミュエルの息子の一人ウィリアムは既にサリナスでビジネスをやっていたが、カレブは、そのウィリアムと組んでビジネスをしようと考えた。ウィリアムは、高校生のカレブが大人の自分と組みたいというのを聞いて最初は笑ったが、カレブの利口さが気に入ってパートナーにする。

リーから借りた元手を使って豆の先物買いをした。時は第1次世界大戦である。アメリカが大戦に参戦しようとしている時期で、いろいろな物資の価格が高騰していった。カレブ達が農家から買い付けた豆も価格が高騰し、二人は大金を稼いだ。

カレブは稼いだ金を新品の紙幣にした上で紙に包んでアダムへプレゼントしたのだが、アダムはそれを拒絶した。アダムにとって金は必要ではあるが浄いものではなかったし、ましてやプレゼントとして受け取るべきものではなかったのである。それに、アダムにはカレブが農民から搾取したように映ったのであった。

自らのプレゼント(献げ物)を拒否されたカレブは怒り狂った。飲めない酒をあおり、自分自身の中にある醜いものの中でうずくまった。

父親に拒絶されたカレブは、父親の愛を一身に受けるアロンに対して嫉妬し、父親の愛に対する復讐をするのである。カレブは、アロンへと復讐をするのであるが、その報いを当然受けることになる。

"East of Eden", Penguin Books, John Steinbeck
 

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