シャルルマーニュ伝説 1 シャルルマーニュ

中世ヨーロッパのフランク王国の国王シャルルマーニューー日本ではカール大帝と呼ばれることが多いようだーーにまつわる伝説を集めた物で、中世騎士物語のスタイルを取っている。フランク王国は、古代ローマ帝国が滅亡した後、今のフランス・ドイツ・イタリアの大半に位置するところに興った国で、西ヨーロッパ諸国の源の一つのような国である。シャルルマーニュは、フランク王国の最盛期に現れ、国威も文化も高めた国王であった。

この本の中で取り上げられている中世騎士物語は、そのような実在するシャルルマーニュとは直接には関係なさそうな破天荒で愛嬌のある物語である。フランク王国を隆盛に導いた武勲と文化振興からイメージされる知的で厳しく威厳のある人物とはかけ離れたシャルルマーニュが物語には登場する。

シャルルマーニュを取りまく、その他の登場人物達も、生真面目で信仰深いが、どこか間の抜けたような性格の者ばかりである。確かに、英雄が揃い、腕に自信のある強者ばかりが集まっているが、物語はどこか間が抜けていて愛嬌のある筋が展開される。

「シャルルマーニュ伝説」 講談社学術文庫 トマス・ブルフィンチ著 市場泰男訳 





コメント

このブログの人気の投稿

フレイザー 「金枝篇」 ネミの祭司と神殺し

ヴォルテール 「カンディード」 自分の庭を耕すこと

安部公房 「デンドロカカリヤ」 意味の喪失