ジェイムズ・ジョイス 「フィネガンズ・ウェイク」 29 ありしごとくあれかし

ありしごとくに。一度何かちがうものに変わってしまった自分が再びありしごとくに戻るとき。

だが以然にありしいかなる体もここに現存せず。ただ秩序のみ他化され。無の無
化されて。ありしごとくあれかし!(3・4巻p433)
正岡子規の短歌にある「われならなくに」という言葉を思い浮かべた。ちょうど「ありしごとくに」という表現と対をなすような言葉だから。

「フィネガンズ・ウェイク」 河出文庫 ジェイムズ・ジョイス著 柳瀬尚紀訳





コメント

このブログの人気の投稿

フレイザー 「金枝篇」 ネミの祭司と神殺し

ヴォルテール 「カンディード」 自分の庭を耕すこと

安部公房 「デンドロカカリヤ」 意味の喪失