フィネガンズ・ウェイク 9 えいちしいいい

たくさんの「えいちしいいい」がでてくる。
栄地四囲委蛇 1巻p19
栄恥しい違々 p21
嬰稚示威違々 p22
永地四位い移 p25
営地ニテ椎ヅカニ遺ータイトナレリ p26
えい地四囲夷為 p32
嬰乳枝為怡々 p33
これ以外にもたくさん出てくる。なんだろうと思っていると次の文章が飛び込んでくる。
大 いなる事実が露出する。すなわり、その歴史的時点後、これまで発掘されたハロンフリーの頭文字による自筆文書のすべてにHCEの署名があり、そして彼は、 ルカリゾッドの飢えがりーな痩せこけ宿無したちにはたんに長くつねづね人好しアンフリー公、同輩たちにはチンバーズで通っていたが、同等に確かに、民達の 快い気質がそれらの名称文字の意味として与えた仇名は、営地司位威々ことヒア・カムズ・エヴリボディこと万仁来太郎であった。(1巻p71)
「えいちしいいい」は、「HCE」のことで、H.C.イアウィッカーのようである。
偉大潔癖巨人、H・C・Eアウィッカーの崇高かつ長久かつ総徳の総存在に浸透する耶蘇性を知り、それを愛する者なら誰しもが、(1巻p74)
HCEからヒア・カムズ・エヴリボディの渾名を持っていたようである。手が込んでいる。更に形を変えて「えいちしいいい」が出てくる。
そして千鳥歩きに、再浸り名が、こブモチー・こロンダーゾ・へッグバート・くラムウェル・るカリゾッド・だンマリー・れキセンレンマー・でーンユーシャ・もノグサー・かエサルノテキ・れッキトオーディン・でマノボークン・もトノモクアミー・あーサー・まタネール・ねゴトゥール・くンリンイグドラシル氏であるのか?(1巻p173)
なんと出てくる長い名前の頭文字を取っていくと、「ここへくるだれでもかれでもあまねく」となるのだが、まさしくこれは「ヒア・カムズ・エヴリボディ」である。



「フィネガンズ・ウェイク」 河出文庫 ジェイムズ・ジョイス著 柳瀬尚紀訳





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